20世紀の100年間で地球の平均気温は0.6℃上昇。1990年代の10年間は過去1000年で最も暑い10年間となりました。これは地球の歴史から見ると、非常に急速な上がり方です。全ての生き物は数千年の時間をかけその気候に適応してきました。気温が上がり、気候が変化することの影響は、想像以上に深刻です。原因は人類がエネルギーを利用する時に発生した二酸化炭素を大気中に放出して、大気が温室効果を招いているからです。
IPCC第1作業部会の第10回会合
(2007年1月フランス・パリ)
第4次評価報告レポートが発表で人類起源の気温上昇の可能性が報告された。
大気中の二酸化炭素濃度は過去42万年間で最高値で産業革命以降に急激な数値を示す
(アイスコア測定)
(IPCC報告書と米海洋気象庁資料から作成)
各国の二酸化炭素排出量(エネルギー・経済統計要覧2007)
まず地球温暖化について簡単なおさらいをしましょう
いま地球では、人間のさまざまな活動によって大気中のCO2が急カーブで増えています。その結果、地球が温室のように暖まり平均気温がぐんと上がっているのです。強力な台風や豪雨、干ばつなどの異常気象も引き起こすともみられています。そこで、世界各国はCO2を減らそうと対応を急いでいます。その一つが『京都議定書』です。日本を含む約40の先進国に、2008〜12年の5年間に温暖化ガスの平均排出量を1990年実績よりも約5%減らすよう義務付けています。国・地域別の削減目標も決まっていて、日本は6%減です。
それで各国はさまざまな対策をとっているのですか?
はい。工場の生産効率を改善して、燃料消費を減らしたり、CO2を多く出す火力発電の変わりに風力や太陽光の発電を増やしたり、バイオ燃料の利用を拡大したりしています。ただ、省エネだけでは限界があるので、他にも現実的な取り組みを、ということで京都議定書の中で定めた手法の一つが『排出権』の取引です。
「排出権」とはどんな権利ですか?
たとえばA国とB国には、CO2排出枠(上限)が100万トンと決められているとします。もしA国の排出量が90万トンどまりなら『あと10万トン排出する権利』が残っていることになります。一方B国は110万トンとなり排出枠を上回るとします。そこでB国はA国におカネを払って『10万トン排出する権利』を獲得する取引をします。するとB国も削減目標を達成したとみなされるのです。
実際に排出権の取引はもう始まっているのですか?
欧州が先行しています。05年には欧州連合(EU)内で約3億トンでしたが、翌06年には11億トンが取引されました。 排出権を売っているのは排出枠までに余裕のある中東欧諸国などです。EUは企業ごとに排出枠を決めており、企業も排出権を取引しています。
EUの取り組みはどうですか?
EU非加盟のノルウェーやアイスランドなどもEUが定めた枠組みの中で取引する計画です。米国は京都議定書に加盟していませんが、州レベルでは、カリフォルニア州やニューヨーク州がEUの排出権取引の枠組みに参加を決めています。
米産業界にも、このままでは欧州企業などに温暖化対策上の後れをとるという懸念があり、排出権に関心が高まっています。
では日本はどう取り組んでいるのですか?
EUに比べると出遅れています。
個別企業の排出枠を設定することに、産業界が強い抵抗を示しているのです。 政府による事実上のエネルギー統制になり市場原理に反する、日本企業は既にかなり省エネが進んでいるので、これ以上無理をすれば、他国企業との間で競争上不利になるなどの理由です。
代わりに業界ごとに削減の自主目標を立て、海外から排出権も買っています。ただ、日本はこれまで環境先進国とみられてきただけに、世界の流れとかみ合っていない印象も与えているようです。
日本は6%減の目標達成はできますか?
政府は意地でも達成を目指すでしょう。
もっとも、現状は減るどころか逆に90年比で6%増えているので、合わせて12%も減らさねばなりません。 政府はハンガリーから排出権を買うことを決めましたが、政府、企業、個人などさまざまなレベルで削減努力を強める必要があるでしょう。時間はありません。
京都議定書で決められた主要各国の温室効果ガス
排出削減目標(2008年〜2012の期間の目標)
1990年の排出量を0とする。
※アメリカは2008年1月1日現在未締結
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